夕暮れの教室
夕暮れの教室は静かだ。
イコール、読書にはうってつけ。
うちの学校は図書室が5時に閉まってしまうので、
私は図書室を追い出されると、日課のように教室に出向いた。
自分の席の椅子を引くと、静かに座り、読みかけの本に手を伸ばす。
こうしてる時間が、なんというか、私としては幸せだったり。
しおりの挟んであるページを開くと、私はすぐに没頭し始めた。
内容は、とつぜん未来から来た少年と、ごく普通の少女が恋をする話。
いま読んでるところでは少年が未来に帰らなきゃいけないってところ。
私の前の席に、見たこともない男の子が静かに座った。
他のクラスの子なのかな。
整っている顔立ちのカッコいい男の子だった。
彼は優雅な仕草で一冊の本をカバンから取り出すと、読み始めた。
いつまで彼を眺めてても仕方ないので、私も本に視線を戻した。
しかし、どうにも彼が気になって集中できない。
誰なのだろうとか、
どうして私の前に座ったんだろうとか。
あと、彼の読んでた本、どっかで見たような気がするんだよね。
だけど聞く勇気はないから、私は本に集中することにした。
やがて、私はあとがきまでも読むと、余韻に浸りながら本を閉じた。
すると、眼の前の彼もちょうど読み終えたようで、
ぱたりと本を閉じ、席を立った。
あたたかい微笑を浮かべて、
振り返りざま、手にしたその本を私に差し出した。
私はぱらぱらとページをめくる、そして。
「え、あの、これ――」
その本は……